春ですね!
心もうきうきしてきます。
今年は開業10年の節目の年にあたり、改めて来し方、行く末に想いを巡らせています。
今から約13年ほど前、妻から言われた言葉は「骨法の先生が疲れたのでもう辞めたいと言っている。息子さんも跡を継がないから、400年続いた療法が消えてしまう。あんた、何とかしなさい」
『なんとかしなさい、と言われても、そんなことできるか!』こう言って取り合わなかったのですが、約1年後、妻は「背中が痛い」と言い出しました。いつもなら腰が痛いと言っていたのに「背中が痛い」という言い方に変わったのを聞いて、ピンと来て『しまった、これは内臓の病気かもしれない』と直感的に閃きました。『すぐ病院へ行こう』というと、妻は「行く」というのです。
今までは「癌が見つかったら怖いから病院には行かない」と言っていたのに、自分から「行く」というのです。
夜間診療所でエコー検査を受けたら、膵臓に3cmの腫瘍があります。詳しいことは大きな病院で検査を受けてくださいと言われ。中央病院で調べたところ「肺にも肝臓にも、十二指腸にも大動脈・大静脈にも浸潤しています。血管を切るわけにはいかないから手術はできません。抗がん剤も効きません。後は死を待つだけです。」と言われ、2か月後に妻は息を引き取りました。
妻が亡くなる1か月前に師匠の所にいき師匠から「あーあ、もっと早くここを診たらよかったね。癌の兆候はここに出るんや。まだ四十歳代やから、まさか癌はなかろうと思ってこんなところ見なかったわ。これが癌の兆候やからな!この感触を覚えておけ!」こう言って鎖骨の中のリンパのしこりに触って教えてくれました。
妻が亡くなってからすぐに、今までの師匠とのやりとりを振り返って『この先生、凄い!この技を習っておこう』と思い四十九日の法要が終わるのを待ちかねて弟子入りしました。妻から「あんた、なんとかしなさい」と言われていたとおり弟子入りしたのですが、そんなことは天国の妻は知りません。しかし、今の私があるのは妻の導きであるのかも知れません。
とにかく弟子入りして3年間は修行を積んで技を修得してもうと思っていたとおり3年間の修行の後1年間は無料施術をしました。
多くの症例を集めたかったのです。その集大成としての骨法皆伝の手順書は骨法講座で活用しています。
講座を受講した方の中からプロとしてやっていきたいという人も現れるようになり、骨法を後世に伝えたいという思いがやっと実現できるところまできました。
『桃栗3年、柿8年、梅は酸い酸い13年』・・・ここまでたどり着くのに13年かかりました。